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2008.02.12

『エンダーのゲーム』(オースン・スコット・カード)

 ええー! この本ってもう新品で手に入らないの!?
 アフィリエイト貼ろうと思ったら中古しかなくて驚きました。
 こんな面白い本なかなか無いのに。
 日本語訳があまりよろしくないので、新訳でどこかに出版してくれませんかね。



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2008.01.06

『デセプション・ポイント』(ダン・ブラウン)

「ハリウッド映画みたいな小説知らない?」
 と聞かれたら自信を持って「これ!」と言える小説です。
 ホント、このまま映画化できますよ。
 『ダ・ヴィンチ・コード』のダン・ブラウン作品です。



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2007.11.02

『天使と悪魔』(ダン・ブラウン)

 これは面白いよ!
 あの『ダ・ヴィンチ・コード』のラングドンを主役にすえた初めての作品がこれなんですが、展開のダイナミックさと作品のスピード感・スリルについてはこっちのほうが上なんじゃないかなぁ。
 まあダ・ヴィンチ・コードのほうは映画しか観てないんですけどね。あれも原作を先に読んどくんだった! 映画は原作を読んでから観るに限りますね。
 この作品も映画化が決定してるらしいので、読むんなら今のうちですよ!



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2007.09.06

『銀河市民』(ロバート・A・ハインライン)

 『人形つかい』がアホみたいに面白かったんで、次に読んだハインラインがこれ。
 そういえば『夏への扉』も面白かったもんねぇ。いまさらだけどさ。


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2007.05.28

『人形つかい』(ロバート・A・ハインライン)

 おもしろいよ、これ!
 ライトノベルみたいな表紙に騙されて読まないのは勿体無いし、こういう絵が隙だったらそのまま騙されて読んじゃうのがいいと思います。
 つまり、中身と関係ないんだこの表紙。



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2007.05.13

『ひとりっ子』(グレッグ・イーガン)

 時間には始まりや終わりがあるのかとか
 物体を究極まで小さくしていくとそれは何なのかとか
 神様がこの世界を作ったのなら神様は誰が作ったのかとか
 世界っていうのは一体どういう風に出来上がってるのか、誰でもちょっとくらい考えたことがると思うんですけど、このグレッグ・イーガンってひとはそこから話のネタを作りだすのが抜群に巧いんですよね。



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2007.03.04

『ホロー荘の殺人』(アガサ・クリスティ)

 ラオウ「ハッピバースデーうーぬー」

 というのを見て5分くらい笑いが止まりませんでした。天才だ。
 ロウソクは北斗七星の形に挿すんでしょうね。

 んなわけでミステリの天才・クリスティの話。さすがに面白いですねぇ。

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2007.03.02

『異次元への冒険』(ジェリイ・ソール)

 先月10年ぶりくらいにスキーに行ってきたんですが、ちょっとした冒険でしたね。暗くなり始めた林道コースはドキドキでした。栂池の林道コースは狭いから気をつけろ!(なだらかですけどね)

 そんなわけで30年以上前に書かれたSF冒険小説。ところが面白いんだこれが。

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2007.01.11

『エンディミオンの覚醒』(ダン・シモンズ)

 どうも自分は夜型なので困ります。仕事のペースが上がってくるのが夕方くらいからなんですよねぇ。まあ困ってるならもっと早く寝て早く起きろって話かもしれませんけど。

 そんなわけで遅咲き型の主人公がついに覚醒するお話。前作は大絶賛の出来でしたが、果たして!

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2006.10.22

『エンディミオン』(ダン・シモンズ)

 こないだ見た満月は物凄くキレイでした。うさぎも見えるほど…と思ったのですが、あれ? うさぎってどれ? 横向きに見たあの形であってる? と混乱してきたので、調べてみました。
 へえー。各国でいろんなものに見えてるんですね。でも動物に餅つかせてるのは日本だけのようです。なぜウサギが餅を。

 というわけで月にちなんだ名前を持つ主人公たちが活躍するSF冒険活劇ですが、これは面白いですよ!

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2006.07.08

『スキャナー・ダークリー』(フィリップ・K・ディック)

 アメリカではキアヌ・リーヴス主演の映画が公開されたばかりのこの作品。日本では秋頃公開じゃないかという噂ですが、ヒットするかなぁ。分かりづらいんだよなぁ。
 原作は山形浩生訳の『暗闇のスキャナー』という邦題のほうが有名ですが、これは浅倉久志さんの新訳版。

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2006.03.23

『われはロボット』(アイザック・アシモフ)

 トランスフォーマーロボを見てカッチョいいなーと思ってたのも束の間、四足走行ロボの怖さに絶句しました。夢に出そう。

 というわけで、たいがい一度は聞いたことがあるんじゃないかと思う「ロボット三原則」で有名なアシモフの名作。いまさら言うのもなんですが、これは面白いですよ!

グローリアにとってかけがえのない友人──ロビイ
過酷な水星でジレンマに陥ったロボット──堂々めぐり
自らの創造者を人間と認めないロボット──われ思う、ゆえに
目を離すと異常行動をするロボットたち──野うさぎを追って
なんの偶然か人の心が読めるロボットが──うそつき
ロボットが隠れるならロボットたちの中──迷子のロボット
星間航行エンジンを開発したロボットは──逃避
立候補したのはロボットだという告発が──証拠
完璧な筈のマシンの指示に僅かな綻びが──災厄のとき


 これだけ有名な作品になるのには、ちゃんと理由があるんですね。一見完璧に見える3つの法則をネタに、これだけのアイディアを出してくるのは見事としか言いようがありません。設定だけではなくて、小説としてもキャラがたってて面白い。ロビイの運命にはハラハラさせられるし、不運としか言いようのないドノバンとパウエルのコンビにも笑うし、もうヒューゴー賞でもネビュラ賞でも好きなの持ってって!

2006.03.05

『ナルニア国ものがたり1 ライオンと魔女』(C・S・ルイス)

 本日公開の大作映画!の原作です。
 長男ピーター、長女スーザン、次男のエドマンドに末っ子のルーシー。ベンジー家の兄弟は、戦争のために田舎の屋敷にあずけられました。屋敷はとても大きくて、子供たちは好奇心いっぱいに探検をして遊びました。ある日ルーシーが、遊びの最中に古いタンスのなかにもぐりこみますと、そこは一面の銀世界。なんとタンスは、異世界への入り口だったのです。ルーシーはそこでフォーンのタムナスさんと知り合いになるのですが──
 ストーリーはとてもシンプル。
 読み終わって一番感じたのは、「子供の頃に読みたかった」ということですね。男の子ならピーターに、女の子だったらルーシーに、きっと憧れるんじゃないかな。
 文章が全体にとても優しくて、特にこの一文は最高でした(ネタバレ?反転で)。
「それからみんなは、エドマンドとふたたび仲良よしになれたことがはっきりするようなことを、ごくふつうにさりげなくいいたいと、いっしんに思いましたが、もちろん、そうやすやすといえるものではありません」
 そんなわけで、きっとすぐに読めると思うので、一回読んでみると面白いと思います。子供がいる家では読ませてあげるといいんじゃないかと。

 で。ついでにというか、どうしても触れておきたいのが瀬田貞二さんの超訳。
 『指輪物語』で『ストライダー』を『馳夫』と訳したのもナイスでしたが、なんといっても巨人ですよ巨人。
 名前を問われた巨人が答えていわく、
「はい、きょうしゅくです。巨人ごろごろ八郎太と申します」
 ごろごろて! どこまで名前なんだと思ってたら
「八郎太家の巨人は、みんないいひとたちですよ」
 八郎太は苗字でした。ありえねえ。
 あんまりありえなかったので巨人を主人公にゲーム作っちゃいました。次のエントリに続く。

2005.11.02

『万物理論』(グレッグ・イーガン)

 Google先生に「人生 宇宙 すべての答え」を尋ねると「42」と答えてくれるそうです。なんだよそれ! 全然わかんないよ!
 で、この小説は「人生 宇宙 すべてに通用する理論」を扱った、SF小説。
 万物理論とは、すべての自然法則を包括する単一の理論である。2055年、人類はこの夢の理論を完成させつつあった。ただし、有力な学説は3種類。もちろん正しい理論はひとつだけ。3人の物理学者は、その理論を南太平洋の人口島で発表することになっていた。科学ジャーナリストのアンドルーはこの万物理論についての番組を制作することになり、島へと乗り込んだが、そこにはいくつものカルト集団が待ち受けていた。また、世界には謎の奇病が蔓延し・・・
 ちょっと長いんでねーの? というのが率直な感想。ジーナとの別れのくだりなんかは、正直とても胸に突き刺さったんだけど、全体の構成を考えると不用だったと思います。自己のアイデンティティを主題として扱う以上、アンドルーのキャラクターを掘り下げて書く必要があったのはわかるけど、でも、ちょっと長いよなぁ。
 それから、ぼくがイーガン作品を好きな理由には、理論のアクロバットもさることながら、それに基づいた斬新なビジュアル体験をさせてくれることがあるのですが、それも『宇宙消失』や『順列都市』ほどのインパクトが感じられず、ちょっと寂しかったと思います。ACが出てきたときはワクワクしたんだけどなぁ。

2005.07.10

『幻惑の極微機械(ナノマシン)』(リンダ・ナガタ)

 ナノナノのコーナーってあったよなぁ……と思って検索してみたら! あったよこんなページが! 元レディクラリスナーとしては懐かしくて泣きそうです。なんか、覚えてないけど覚えてるよ。ウポポピロンチくんとか!

 ま、それはともかく『極微機械ボーア・メイカー』の作者リンダ・ナガタの手によるSFです。
 遠い未来。人類は、チェンジーム人が残した恐るべき攻撃機械のために、絶滅の危機に瀕していた。 生き延びた人々の一部は、強力なカリスマを持つ指導者ジュピターに率いられ、 “理想の地”であるとされるコミュニオンを目差し、陥穽星へと降り立ったが……
 まずね。邦題に文句をつけたいです。なんで「DECEPTION WELL」がこんなんなっちゃうかなぁ。 ボーアメイカーが売れたから、同じようなタイトルがいいと思ったんでしょうか。 他にも翻訳にはいろいろ違和感を感じてしまいました。「陥穽星(かんせいせい?)」とか「絹市(きぬし?)」とか、 声に出して読みづらいっつーの。シルクシティでもよかったんじゃないかと思うんですがどうですかね。
 お話の内容も、どうも僕がアタマ悪いのかもしれませんが、今ひとつ理解がしづらくてついていけませんでした。
誰に感情移入したらいいのかが分かりづらかったのもマイナスですねぇ。いまひとつジュピターが何をしたいのかが分からなくて。
 ま、読むとしたらボーアメイカーを読んだ直後に読むことをオススメいたします。

2005.04.05

『書斎の死体』(アガサ・クリスティ)

 もし金田一くんと友達になったとしても、絶対に旅行には行かないと思います。 雪山の山荘とか、吊り橋の先にある旅館とか、命がいくつあっても足りないよねぇ。
 と、いうわけで、ベタなシチュエーションの殺人事件、パターン「書斎の死体」。
 朝早く、電話のベルが鳴った。ミス・マープルが受話器を取ると、バントリー夫人のひどく興奮した声が伝わってきた。
「書斎で死体が発見されたの!」
 まるで推理小説のような殺人事件。ミス・マープルの推理が冴える──
 ありふれた書斎に奇想天外な死体を用意したという意欲作。意欲作なのかな?  クリスティならちょちょいと書けちゃったのかもしれませんけれども、面白かったです。
 あいつ怪しいと思ったんだけど、最後まで自説を貫けなかったなぁ……(独り言)。

『THE BODY IN THE LIBRARY』
Agatha Cristie
ISBN4-15-070016-8

2005.02.04

『スタイルズ荘の怪事件』(アガサ・クリスティ)

 コンビニを3件もまわったのに売ってないんですよ。豆。
 仕方ないのでポリッピーとかいうお菓子を買ってきたのですが、これが美味しくてポリポリ。やめられなくて困りますポリポリ。
 というわけで、読み始めると止まらないクリスティの小説。我ながら無茶な前フリですね。
 旧友の招きでスタイルズ荘に滞在することになったヘイスティングス。しかしそこで彼は、殺人事件に巻き込まれてしまう。別荘の持ち主であるイングルソープ夫人が、未明に毒殺されたのだ。偶然村に居合わせた名探偵エルキュール・ポアロが捜査に乗り出すが──
 いやー、面白いですね。ヘイスティングスが。「少しは推理の才能を持っていたので」とか言い出したので「ええ!?」とか思ってたら、ボケるボケる。シンシアに対する「優しい言葉」なんか渾身の力で突っ込んであげたいです。ま、ぼくも全然犯人がわからず騙されていたので、あんまり彼のことを笑えないんですけどね。
 クリスティのデビュー作、とのことですが、大作家になるひとって、たいがいデビュー作から面白いんですよねぇ。それはクリスティに関しても当てはまりました。ヘイスティングスとポワロのコンビの、最初の事件が見たければ、是非ご一読を。

『スタイルズ荘の怪事件』
アガサ・クリスティ
ISBN4-10-213519-7

2004.11.13

『まだ人間じゃない』(フィリップ・K・ディック)

「くちばしの黄色いひよっこがぁ!」
 なんて台詞があったりしますが、鶏もくちばし黄色くないですか?  いつになったら一人前として認めてもらえるのでしょうか。ピヨからコケに変わったときなのかな。
 というか、ピヨからコケに変わる瞬間というのもよく分からない。
「ピヨピヨ…ピコ…コヨ……コ……コケ? コケー!」
 みたいなブレイクスルーがあるんでしょうか。
 人間でも「わし」とか言ってる爺さんには、いったい何をキッカケに変えようとしたのか聞いてみたいところです。そんな爺さんみたことないけど(広島弁は除く)。

 フィリップ・K・ディックの短編集です。ロックな内容の表題作を含む八編を収録。
奴らは地球人に化けるが、確実な判別法があった。今までは──『フヌールとの戦い』
アナーキスト達の時代にロボットの統治が統治する国がまだ──『最後の支配者』
観測したことで変わってしまった未来。原因を調査に赴くが──『干渉する者』
サーカスから超能力を使って勝ち取ったもの。だが、それは──『運のないゲーム』
CM過多時代。ついに、自分自身をの実演販売をする商品が──『CM地獄』
テラ人は戦争に勝ったことになっている。だが彼には疑念が──『かけがえのない人造物』
完全再現された、ミニチュアの街。ある日ハスケルはそれを──『小さな街』
法令では12歳以下の子供であれば《生後堕胎》が許される──『まだ人間じゃない』
 うーん。個人的にはイマイチでした。やっぱりSFの短編といえば鮮やかな切り替えしを期待してしまうのですが、 「そう来たか!」とまでは思わせてもらえなかった、という感じ。 『CM地獄』『小さな街』なんて、ええ? それで終わり? と思ってしまったんですよねぇ。

ISBN4-15-010969-9

2004.10.21

『覇者』(ポール・リンゼイ)

「アタック、チャ~ンス!」
 と聞いて腕をプルプルさせる児玉清の姿が思い浮かぶ貴方はこの本を読んだほうがいいと思います。
 解説を児玉清が書いているから。
 ……まあそれだけなんですが、かなり絶賛してますよ。そんで実際おもしろい。
 ナチスの老幹部が死ぬ間際に語った、《総統のたくわえ》の秘密。 それは、五億ドルにも相当する絵画の数々で、第三帝国復興のための隠し財産だった。 ネオナチの幹部ブルナーは凶悪な男デッカーを使い、次々に秘密の鍵を握る人物を殺害していく。 FBI捜査官ファロンは国際美術研究財団のシヴィアと共にデッカーらを追い始めるが──
 相当の蓄え、じゃないっすよ。
 とにかくスピード感があって、話にぐいぐい引き込まれる。 前回リンゼイの作品を読んだときにも思ったのですが、もう、今すぐにでも映画化できそうなお話です。 後半のどんでん返しがもうちょっとビックリ感が欲しかったような気はするけれど、それでも充分楽しめました。 オススメです。

2004.09.26

『2001年宇宙の旅 ─決定版─』(アーサー・C・クラーク)

 決定版ですよ。
 それじゃあ今までは決定してなかったのかっちゅー話ですよね。
 完全版とかディレクターズ・カットとかで何度も商売するのもどうかと思うんですけど、ファンは買っちゃうんですよね。
 何枚もベストアルバム出すのもどうかと思うんですけど、ファンは買っちゃうんですよね。いやいや、今度はもう買わないぞ。
 と、謎の決意をしつつ本の感想を。映画版の感想と同じく、あらすじは省略させていただきます。
 映画版では完全に突き放して観客の解釈に委ねきっていた部分が、小説たくさん説明されてます。あー、すごい分かりやすい。映画版が好きな人のなかには「説明しすぎてつまんねーよ!」と怒るひともいるかもしれないくらい分かりやすい部分も。
 とは言え、そこはクラークの小説なので、全部解決してスッキリ!というわけにもいきません。このあと2010年、2061年、3001年と読んでかなきゃいけないのかなぁ。でも全部読んでもスッキリしそうもない気がするんだよなぁ。どうしよう。
 いや、結構おもしろかったんですけれども。この先の見えなさ加減が。

2004.09.11

『しあわせの理由』(グレッグ・イーガン)

「幸せだなぁ」
 と言う代わりに
「βエンドルフィンが分泌されてるなぁ」
 とか言ってたら、今ごろ加山雄三はクルーザーに乗っていないだろう。
 そんな話です。
 十二歳の誕生日をすぎてまもなく、ぼくはほぼ四六時中、しあわせな気分でいるようになった。 ぼくの脳には腫瘍ができていた。その悪性の腫瘍が生じる過程のどこかで、 エンドルフィンを作るのに必要な遺伝子のスイッチが入ってしまったらしい。 しかし、このままにしておいては、余命は数年といったところだ。ぼくは手術を受けることになったが──
 これが表題作の『しあわせの理由』。 他に『適切な愛』『闇の中へ』『愛撫』『道徳的ウイルス学者』『位相夢』 『チェルノブイリの聖母』『ボーダー・ガード』『血をわけた姉妹』の、全9編を収録した短編集です。
 『宇宙消失』『順列都市』『祈りの海』ときて、イーガンの作品は好きかもしれない、ファンかもしれない! ふごふご! と思っていたのですが、今回は正直イマイチだったかなぁ。読んでてあまり盛り上がれませんでした。唯一「イーガンらしいな」と思ったのが、表題作の「しあわせの理由」これは『祈りの海』にも通じる感じで、面白かったです。

2004.08.19

『オペラ座の怪人』(ガストン・ルルー)

♪Opera座の幕開け 落ちるシャンデリアに
 あの歌を聴くと今までトゥーリアの事件を思い出したりしてたんですが、 『オペラ座の怪人』にそういうシーンがあるんですねぇ。勉強になりました。
 ていうか当時中学生だよ。行ったこともないのに、なんで未だに店名覚えてるんだろ。
 19世紀パリ。華麗なオペラ座の舞台裏では、奇怪な事件が続発していた。 そして事件に関わったものは皆、口をそろえてこういうのだった。 これはオペラ座の幽霊の仕業だ、と。 ある日その幽霊から、オペラ座支配人のもとに脅迫状が届いた。
「歌姫クリスチーヌ・ダーエを主役に起用せよ」
 しかし支配人はその要求を突っぱねた。 そしてその夜、悲劇は起きた──
 これはこういう話だったのかー、とか、これどうやって舞台で表現してんのかな? とか。 有名な作品だから、そんなことを考えて読んでるだけでも結構おもしろかったです。
 じゃ、内容は? というと、うん、まあ面白かったかな。 前半の、幽霊の謎が全然わからなかった頃のほうが面白くて、後半になっていろいろ分かってきてからは、 それはちょっと無理があるんじゃないかとか、ラウルはスットコドッコイだなぁとか、 いろいろ気になってはしまうのですが、1910年に書かれた当時なら、いろいろ斬新だったんじゃないかなぁ。

2004.08.01

『魔法使いとリリス』(シャロン・シン)

 変身するときの音、といったら、どんなのを思い浮かべるでしょうか。
 むかーし、NHK教育テレビに出演されていた《へんしんタンマ》さんは、大変独創的な擬音でぼくを楽しませてくれました。
 「ぎわーん」
 この頃にはぼくも結構大きくなっていたので、そんなに何度も観ていた番組というわけでもないのですが、この擬音と《へんしんタンマ》という全くもって意味不明な名前だけは忘れられません。しかもこれ、「ぎわーん」て書いたパネルで画面を隠しておいて人形を取り替えるだけの変身なんですよ。やっすいなぁ。
 若く才能に溢れる青年魔法使い・オーブリイは、 変身術を学ぶため、その技では世界一と謳われる老魔術師・グライレンドンのもとに向かった。 そこで彼を出迎えたのは、魔術師の妻・リリス。豊かな緑色の瞳に完璧な無関心を浮かべるその女性に、 やがてオーブリイは想いを寄せるようになっていった。しかし彼女は、自分には“愛”という感情が理解できないのだという──
 適当に手にとって読んでみたのですが、なかなかの当たり。ネタそのものは読みはじめたらすぐに分かってしまうので、 ちょっと序盤が長すぎるんじゃないの? とか思ったりもするのですが、それでも、クライマックスの盛り上がりから 印象的なエピローグまでが素晴らしいので許せてしまいます。
 この作者の他の作品は、まだ日本語訳されてないんですかね?

2004.06.04

『奥津城』(ローリー・キング)

 ヤクルトよりもローリーエース派です。 一般的にはヤクルトのほうがメジャーなんだろうけど、ローリーエースのほうがサッパリして飲みやすい気がするんだよねぇ。

 今日の小説はローリーキングの『奥津城(おくつき)』。
 新興教団『チェンジ』からは危険な兆候が読み取れる──。
 宗教学者アン・ウェイバリーは、FBI捜査官の依頼によって、単身『チェンジ』への潜入捜査を開始した。 しかしそこには、18年前に失くした娘に生き写しのような少女がいた──。
 いや、キングってエースの13倍くらい凄そうな気がするじゃないですか。 いや、普通はエースのほうが強いのか?
 まあ、そんなことはどうでもよいのですが。
 タイトルの「奥津城」とは神道用語で墓所のことだそうです。 宗教の話なのに、別の宗教の言葉を使って表現しちゃうというのはいかがなもんなんでしょうか。 原題は『A Darker Place』で全然違うし。まあ、ピッタリと言えばピッタリなタイトルなのですが、 なんだかしっくり来ないなぁ。
 内容についても、どうも今ひとつピンと来ませんでした。 普通にサスペンスを期待しているとちょっと肩透かしを食うかも。 後半、舞台を移した直後の重い雰囲気にはズシンと来たのですが、そのあとの展開が、 期待とは違ったかなぁ。
 18年前にある事件に巻き込まれたアンの、精神に受けた衝撃と影響、 その内面を丹念に書き綴った作品、という見方で読めると、結構いいみたいです。 けど、正直難しかったっす。『シャーロックホームズの愛弟子』か『捜査官ケイト』のほうがいいな。

2004.05.23

『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(J・K・ローリング)

 あらゆる魔法の基礎は「物体浮遊」。呪文は「チンカラホイ!」だそうです。 ドラえもんが言ってたから間違いありません。
 ちょっと前に本屋で『大長編ドラえもん大全集1』を買ってしまったのですが、ほんと面白いんですよ。
 『魔界大冒険』の演出の巧みさ! 『大魔境』でのジャイアンの心情描写! 『宇宙開拓史』も『のび太の恐竜』もいいよねぇ。子供の頃はのび太たちと一緒に冒険をしていたんだなぁと思うと泣ける具合も倍増です。
 いまの子たちにはハリー・ポッターも同じように映るんでしょうね。
 今年もダーズリー一家と夏休みを過ごすハリー。 しかし、13歳の誕生日、ついにハリーは爆発してしまった。 意地の悪いマージおばさんを、魔法で風船のように膨らませてしまったのだ。 規則を破って魔法を使ってしまったハリーは、憂鬱な気分でダイアゴン横丁へと逃げ出すが、 そこには魔法省大臣のファッジが待ち構えていた。 重い罰則を覚悟するハリーだったが、何故かファッジはハリーを罰することはせず、 ただその無事を喜ぶばかり。 それもそのはず、ハリーはアズカバンから脱走した囚人、 シリウス・ブラックにその命を狙われていたのだった──
 ルックスはのび太似のハリー君ですが、今回は行動もちょっと のび太くん。 そのワガママ加減はどうなのかなぁと思うけど、子供たちには多少いたずらっ子が主人公のほうが いいんですかねぇ。ダンブルドラ校長も、あんまりハリーを甘やかしたらいけないと思いますよ。
 お話の重要なファクターとなっているあのアイテムも、今回はとってもドラえもん風です。
 ハリーポッターとドラえもん。どちらも多少の設定の穴は気にせずに、巧みな構成と演出を楽しむ作品だと思うのですが、ドラえもんで気にならないような部分がハリーポッターで気になるのは、自分の中の「子供の部分」が少なくなってきているからなのかなぁ……。のび太たちとなら、まだ一緒に冒険できるのに。

2004.05.09

『犬ですが、ちょっと一言』(ミュリエル・ドビン)

 「犬ですが」て。
 夏目漱石の本が
 「吾輩は猫ですが」
 だったらイヤだなぁ。
 「吾輩は猫ですが、何か?」
 だったらもっとイヤだけど。
 原題は『JOE'S WORLD』。全然違うけどこりゃ邦題つけたひとが偉かったと思います。実際思わず読んじゃったし。
 ぼくの世界はずっと前々から、ほんとに重大なことをするための時間のある世界なのだ。 憂鬱になっているネズミに立ち止まって話し掛け、カンの葉の茂みの上に降りそそぐ日光を眺め、 ぬれた草の中でバラの香をかぐ。それから、一日の終わりに一杯か二杯のマルティーニ。  ところが人間どもときたら、つい鼻先にあることさえほとんどわかっていない。 ぼくは彼女のタイプライターを使って、物を書いてみることにした。 だけどチャーリーにこれが見つかったら大変だ。 犬が酒を飲むのがおかしいと思っている彼だもの、犬がタイプで日誌をつけてると知ったら、 笑って笑って心臓発作をおこしちまうだろうな……。
 と、言うわけで犬が書いた日誌ですが、ちょっと一言。
 ミステリの文庫から出てるから、そのうち事件のひとつも解決するだろうと思って読んだら大間違い。 なんの特別な事件も起きないし、ジョーが大活躍をするわけでもありません。
 とは言え、それは人間の視点で見たときの話。ジョーの視点からすると、 この短い間にもいろんなことが起きています。そういうお話。
 すごいクライマックスとかを期待していると肩透かしを食ってしまいますが、 彼女の犬とうまくいっていない男なんかはちょっと読んでみてもいいかもしれないですね。 ま、お暇があれば……。

2004.05.08

『楽園の泉』(アーサー・C・クラーク)

 エレベーターというのは不公平な乗り物だと思います。 最後に乗った人が一番トクをするシステムになってるんですよ。 閉まるギリギリに駆け込んできたひとはドア付近に立つことになるため、降りるときは真っ先に降りられます。 先に乗ってたひとは出発するときも降りるときも待つことに! ひどい!
 そこで提案なのですが、動いてる最中に中がグルグルと回るシステムにしてみたらどうでしょう。 どこから降りられるかは全くのランダムです。
 気分は悪くなると思いますが。
 かつて古代の王カーリダーサが楽園の泉を築いた土地タプロバニー。 それから二千年の後、ここに天を貫く新たな塔が作られようとしていた。 赤道上を地球の自転と同じ速さで動き、そのため同じ地点の上空に静止しつづける人工衛星。 そこからケーブルを地上へとたらせば、地球と宇宙を結ぶ巨大なエレベーターを作ることができるはずだ。 この壮大な夢を実現させるため、科学者ヴァニーヴァー・モーガンはタプロバニーへとやってきたのだが──
 古代の王の伝説、聖地に住む僧たち、地球外知的生命《スターホルム》。 一見バラバラにも見える要素に最初は戸惑ったのですが、これらがうまく絡み合って、 宇宙エレベーターにかけるモーガンの夢へのモチーフになっています。
 宇宙のランデヴーや地球幼年期の終わりなどを思いおこさせる個所もあり、 クラークのSFらしさもよく表れた作品だと思いますが、それ以上に、やっぱりモーガンの《夢》と《情熱》というものが 印象的な話でした。子供のころ、凧揚げをしたひと、どこまでも高く凧を上げようとしたひとに読んで欲しい作品です。 ちょっと、SFを読みつけないと分かりづらいけどね。

2004.04.24

『ABC殺人事件』(アガサ・クリスティ)

 「XYZ」といえば「もう後がない」ですが、「まだ後がある」ことが怖い、そんな話。
 名探偵ポワロのもとに一通の手紙が届いた。 ABCと名乗るその人物は、イギリスの警察とポワロに挑戦状を叩きつけたのだ。 間もなくアンドーヴァー(A)でアリス(A)という老女が殺された。 犯人は次にベクスヒル(B)での殺人を予告し、給仕女ベティ(B)が殺された。 更にチャーストン(C)ではカーマイクル卿(C)が殺され、 次はドンカスター(D)だという予告状が届いた。 一見無関係とも思えるこれらの被害者に、共通点はあるのだろうか?  アルファベットの順番に拘る意味は? ポワロへ挑戦をしてきた意図は?  やがてポワロの灰色の脳細胞が、犯人の姿を描き出す──
 ってことで。むかーし一回読んだことがある気もするのですが、見事にやられました。いやー、やっぱり傑作です。
 前半は恐怖を感じさせるサスペンス的な展開、そして後半は──って、あんまり書くとネタバレしそうなので やめておきますが。期待を裏切らない裏切り方っていうのはこういうのを言うんじゃないでしょうか。 あれもあれも、みんな伏線だったんだなとか、あれにはこういう意図があったんだなとか、 キレイに騙される快感、それが解けたときの快感。これがミステリですよね。面白いです。

2004.03.14

『時の砂』(シドニィ・シェルダン)

 テロはやっぱりよくないよ。こんな日本でのほほんと暮らしてるやつが言っても何の説得力もないんだろうけど。 闘わなければ何も変わらないということもあるんだろうけど。それでも。
 バスク独立運動の過激派ハイメ・ミロは政府から追われていた。 軍のアコーカ大佐は執拗にハイメを付け狙い、彼らが潜んでいるとされる修道院を襲撃したが、 そこには敬虔なシスターたちしかいなかった。 しかし大佐の狼藉は収まることを知らず、院長は4人のシスターを脱出させた。 長い間外界との接触を断っていたシスターたちは右も左も分からずに苦労するが、 やがて逃亡中のハイメ・ミロ一行と出くわした──
 いまリアルで起きてるスペインのテロとはわけが違いますが…… 独立のために戦う英雄であり、破壊と暴力のテロリストでもある男の話。
 と言ってもシドニィ・シェルダンのお話なんで、基本的にはエンタテインメントですね。 4人の修道女たちがドタバタもするし、随分都合がいいなぁという展開をするし。 ま、アカデミー出版の広告が言うほどスゴイ作品ではないと思うけど、それなりには面白いです。
 ただ、これ以前読んだことあったのに間違えて借りてきてしまいました。 いやー、全然おぼえてなかった。途中から「読んだことあるなー」と気が付きつつも、全然覚えてなかったです。
 なんでだろうなーと考えてみたのですが……。以下ネタバレ。
 まあテンポが良すぎるのもさることながら、肝心のところで内容が薄いのでは、と思います。 冒頭で、自らの行動で傷つけてしまったひとたちのことを考えて沈痛な表情をしていたハイメ。 アンパロにも、これ以上は死人を増やすだけだと指摘されていたにも関わらず、 最後は袋の中からニッコリ登場してオシマイ。そりゃないんじゃない?  その後、仲間の裏切りで死んでしまうエピソードもあったけど、なんか、こう、もっとなぁ。

2004.02.06

『メソポタミア殺人事件』(アガサ・クリスティ)

 『ドルアーガの塔』のメインBGMに合わせて
♪イクラ丼が食べたかったな~
 と歌う。
 誰が考えたんだか知らないけど天才的なセンスだと思います。でもやめてくれ。

 メソポタミアつながりでドルアーガの話をしてみました。
 今日は名探偵ポワロの中近東シリーズ。
 看護婦レザランは、恩師の紹介によってメソポタミアの遺跡調査団宿舎で働くことになった。 彼女の仕事は、団長であるレイドナーの妻ルイーズの身の回りの世話。 しかしルイーズは、時おり姿を見せる何者かを異常なまでに恐れていた。 ルイーズに寄ればそれは、彼女のの前夫だという。 死んだはずの男から、いまも脅迫状が届いているというのだ。 レザランには、そしてレイドナーにさえもそれは信じられない話であったが、 間もなく第一の殺人が起きてしまった──
 まずはレザラン看護婦のキャラが面白い。一人称の手記という形をとっているのに、こんなに遠慮のないひとは はじめてです。正直っちゃぁ正直なんだけど、もうちょっと他人に読まれることを考えようよ。 まあ、そうじゃないから面白いんだけれども。
 殺人のトリックとしては、いっぱいヒントをもらっちゃったので最後にはだいたい想像がつきましたけど、 「すべての容疑者に動機がある」という状況と、各キャラクターの心理が興味深かったです。
 「殺人は癖になる」は、ポワロ名言集に入れてもいいかも。

2003.12.29

『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』(フィリップ・K・ディック)

 アンドロイドは電気羊の夢を見るか?
 そんなこと言われても知らないよって感じですが、なんか電気羊ってすんごい暖かそうだよね。 冬の寒い日なんか手放せなくなりそうですよ。AIBOより実用的な感じがするので、どっかで作らないかなぁ。
 ま、そんなのんびりした話ではないんですけど。映画『ブレードランナー』の原作です。
 《最終世界大戦》以後、死の灰に包まれた地球。 人類の大半は他の惑星へと移住して行ったが、それでも何千何万という人間たちがまだこの星にしがみついていた。ほとんどの動物が死に絶えた地球では、生きた動物を所有することが地位の象徴となっていた。 人口の電気羊しか持っていないリック・デッカードは、火星からの逃亡アンドロイドにかけられた懸賞金を狙って、 危険な狩りを開始した──
 『ブレードランナー』も見たことあるはずなんだけど、こんな話だったっけ?  あの未来的な町並みと、レプリカントたちの妙な動きしか覚えてなかったりします。もう一度見てみようかなぁ。
 超有名作の割りには地味っちゃ地味だなぁと思うのですが、独特の世界観が印象的な作品です。 デッカードの葛藤、アンドロイドの葛藤が物語の核になってるんだけど、個人的には、もうちょっと分かりやすい話が 好みだなぁ。
 でも、これを読んだあとに映画を観たら、また違った印象で見られる気がします。 フォークト・カンプフ検査法なんて、映画だけじゃわかりづらいよね。

2003.12.20

『まっ白な嘘』(フレドリック・ブラウン)

 そういえば、何で嘘は真っ赤なんだろう? 真っ黒とかでもいいんじゃない?
 そう思って調べてみたところ、この場合の「赤」は、「純粋な」という意味の赤なんだそうです。
 つまり、赤ちゃんの「赤」と同じ「赤」。
 純粋だった赤ちゃんがいつかは真っ赤な嘘をつくようになるのかと思うと、成長してほしくなくなったりするよねぇ。
 はい、この話にオチはありません。

 そんなわけでフレドリック・ブラウンの短編集『まっ白な嘘』。
 『笑う肉屋』『四人の盲人』『世界がおしまいになった夜』『メリー・ゴー・ラウンド』 『叫べ、沈黙よ』『アリスティッドの鼻』『後ろで声が』『闇の女』 『キャサリン、おまえの咽喉をもう一度』『町を求む』『史上で最も偉大な詩』 『むきにくい林檎』『自分の声』『まっ白な嘘』『カイン』『ライリーの死』 『うしろを見るな』の、全17編。
 最後の作品「うしろを見るな」だけは、一番最後にお読みください。 と、いうのは、あなたがお買いになったこの本は、あなたのために特別の製本がしてあるからです
 という前書きが書いてあって、なるほど確かに面白い趣向がとられています。
 が。
 全体的に、着想はいいんだけど、オチがねー。ちょっと、弱いよなぁ。 ぼくも落としてませんが別に原稿料もらってるわけじゃないし。
 これオチてんの? という作品もいくつかあって、 どうもぼくにはこの人はあわないみたいです。たぶんこれ以上は読まないな。
 ただひとつ、『うしろを見るな』は話の種に、読んでみてもいいかなと思います。

2003.11.09

『宇宙のランデヴー』(アーサー・C・クラーク)

 某 沖縄で開催されたイベントの元ネタとなっているこの作品。 てっきり原題は『Rendezvous In Space』なんと思ってたら 『Rendezvous With Rama』が正解でした。なんだよラーマって。奥様インタビューか(古い)。
 西暦2130年、太陽系内に突如として謎の物体が現れた。 直径20km、自転周期4分という巨大な金属の円筒。 エンデヴァー号とその乗組員は“ラーマ”と名づけられたその物体の調査を開始した──
 まあストーリー自体は意外とシンプルなんだよね、この話。
 ラーマの中でいろんなことが起きて、語り口が上手いのでドキドキするんだけど、 それでも全体の構成自体はとてもシンプル。そう思って油断していると最後の最後に──!
 というわけで、さすがは巨匠という作品でした。

2003.10.05

『ブラウン神父の童心』(G・K・チェスタトン)

 木を隠すなら森の中。
 この有名なフレーズはこの作品から生まれたとのことなのですが、 これって絶対あとで何処に隠したか分からなくなるよね。犬みたい。

 というわけで、聖職者にして名探偵・ブラウン神父の活躍を描く短編集。
 「青い十字架」「秘密の庭」「奇妙な足音」「飛ぶ星」「見えない男」 「イズレイル・ガウの誉れ」「狂った形」「サラディン公の罪」「神の鉄槌」 「アポロの目」「折れた剣」「三つの兇器」の、全12編。あらすじは面倒いので省略。
 名作と聞いてはいたけれど、確かに面白い。 本当に短編なんだけど、ミステリの古典というか原点というか、アイデアと魅せ方がギュッと詰まってます。 フランボウなんかもキャラが立ってるよねぇ。改心してからはちょっと影が薄くなっちゃったけど、 最初の3編のおかげで充分に印象の強いキャラになってます。
 ま、長々と説明するまでもない有名作品だし、 ココを見てもらうのが一番はやいかも。 「著名作家10人が選んだ創元推理文庫」という企画で、
 有栖川有栖が選んだベスト2、
 北村薫が選んだベスト3、
 宮部みゆきが選んだベスト2
 に選ばれてます。凄い。

2003.10.02

『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(J・K・ローリング)

「生徒たちが、次々と医師になっていった──」
 んだったら、おめでとうっちゅー話だけどね。石でした。
 意地の悪いダーズリー一家から解き放たれる、待ち焦がれた新学期。 しかしハリーは、「ホグワーツに戻ってはならない」と警告する“屋敷しもべ妖精”ドビーのおかげで 旅立つ前から散々な目にあってしまう。 やっとの思いで魔法学校へ辿り着いたハリーだったが、 そこには恐ろしい事件が待ち受けていた。 生徒たちが、次々に石になっていったのだ。 そしてその犯人であるという疑いが、ハリーの上に──
 子供向けと言えども意外にダークなところがあって、そこがまた受けるのかもしれませんね。 ハリーが、自分でも分からない自信の秘密について思い悩むところなんかは、なかなかドキドキさせる展開。 自作以降の伏線にもなっているようですし。
 しかしダーズリー一家に苛められるシーンはまだ必要なんでしょうか?  3巻でもまだ長々と出てくるようだと、ちょっとくどいなぁ。

2003.09.15

『マイノリティ・リポート』(フィリップ・K・ディック)

「次にお前は『そんなバカな』と言う」
「そんなバカな……ハッ!」

 要するにこういう話です。マイノリティ・リポート。
『マイノリティ・リポート』
    犯罪予防局長官が予知分析カードに見たのは、自分自身の犯罪予知だった
『ジェイムズ・P・クロウ』
    ロボットが世界する支配。人間で唯一〈テスト〉に合格し続ける男がいた
『世界をわが手に』
    外世界に新しい生命を見出せなかった人類は、〈世界球〉に夢中になった
『水蜘蛛計画』
    質量復元の公式を得るため、移住局は1954年から予知能力者を連れてきた
『安定社会』
    ベントンの発明は拒否された。しかし彼自身、それに覚えがなかったのだ
『火星潜入』
    地球への最終便にテロリストが乗っている。しかし嘘発見器の反応はなく
『追憶売ります』
    火星への渇望を抑えきれないクウェールは〈記憶〉を買おうとするのだが
 昨年トム・クルーズ主演で映画化された表題作。 二転三転するスピード感が面白いんだけど、 映画にするには短いので、映画版では結構な脚色が加えられているんだろうなぁ。見なきゃ。
 ちなみに『追憶売ります』はシュワちゃんが出てた映画『トータル・リコール』の原作。 これも随分違う話だったけど映画版も面白かった(映画版のほうが面白かったかも?)ので、 比較してみるのもいいかも。
 ディックといえば『ブレードランナー』原作の『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』なんだけど、 これをまだ読んでないんだよね。そのうち読まなきゃ。

2003.09.04

『火星人ゴーホーム』(フレドリック・ブラウン)

 最接近の日は過ぎたと言え、大接近の話題で盛り上がってる火星。 それなのに、こんな本ですんません。「火星人は帰れ!」のドタバタSFです。
 原稿を仕上げるため、砂漠の一軒家で缶詰になっているSF作家のルーク。 そこに突然、緑色の小人があらわれた。
「やあマック、ここは地球だろ?」
 この馴れ馴れしく、悪戯好きで、意地の悪い小人たちは、 地球上に大挙して押し寄せ、至る所で騒動を起こした。 彼らの目的は? 撃退方法は? 彼らが火星に帰る日はくるのだろうか──?
 ちなみに「やあ、マック」ってのは日本語でいうと「やあ、にいちゃん」程度の意味とのこと。
 火星人が現れてからのドタバタ、地球の社会の変化などを描いた話で、まあコメディなんだよね。 あんまり想像力をたくましくして読むと鬱陶しくて仕方がないかも。
 このめちゃくちゃな状況、一体どうやって解決するのかと思ったら──
 まあネタバレなので書かないけれど、個人的には、そんなオチかぁ……という感じでした。 有名な作品らしいんだけど、あんまりオススメではないかなぁ。

2003.07.29

『ハリー・ポッターと賢者の石』(J・K・ローリング)

 「けんじゃのいし」と言えばドラクエ世代にはベホマラーですよ。 めちゃくちゃ便利だよねぇ、あれ。“名前を言えないあの人”じゃなくても喉から手が出るっちゅー話ですよ。
 幼いころに両親を失ったハリー・ポッターは、意地の悪い叔父のもとでつらい毎日を送っていた。 しかし11歳の誕生日を迎えたその朝、ハリーに生まれてはじめての手紙が届いた。
   階段下の物置内 ハリーポッター様
   ポッター殿 入学を許可します ホグワーツ魔法魔術学校
   ハリーは魔法学校ホグワーツへと旅立った。それが冒険の始まりだった──
 まあ今更って感じですが、面白かったですよ。 ただ、映画版を見たときにも 「そこまで面白いか??」というのはあるけど、ブームっていうのはそれだけで付加価値だしね。
 映画版を先に、原作を後から読んでみたのですが、映画版を見て疑問に思ってた個所は、 原作ではちゃんと解決(というか、最初から問題ない)してました。 映画で気になることがあったひとは、ちゃんと原作読んだほうが良さそうです。 厚いけどすぐ読めるしね。
 読んでから半年もたっちゃってる感想なので冷め切っててすみません。ちゃんと面白かったってば。

2003.03.20

『キャリー』(スティーヴン・キング)

 思わずまた戦争に結びつけたマクラを書きそうになってしまいましたが、やめやめ。 つい考えてしまうのは仕方がないけど、 なんでもかんでも結び付けてしまうことがいいわけじゃないよね。
 って、結局書いてるけどさ。この時期しかたがないかなぁ。
 狂信的な母に育てられた16歳の少女キャリー。 抑圧された心は行き場をなくし、彼女の中で日々大きくなっていた。 そしてハイスクールでのいじめが、それを解き放った。 秘められた恐ろしい力が、チェンバレンの街を焼き尽くす──
 暗ーい話です。どう考えてもハッピーエンドにならないのが分かってるので、 キャリーを見てるのが辛くって。
 ストーリーとしては、ほとんどあらすじ以上のものはないんだけど、 この小説の肝はそこじゃない。主人公だってキャリーが主人公のようでそうではない。 スー・スネルとかトミー・ロスとか、彼女のまわりを取り巻く人々の気持ちにいろいろ考えさせられる。 とういうタイプの話だと思います。
 でも、よく書けた話だとは思うけど、やっぱりこういう話はあまり好きじゃないなぁ。

2003.02.27

『火星年代記』(レイ・ブラッドベリ)

♪火星人なんて怖くない 怖くない 怖くない
 何故って、いま風邪ひいちゃって微熱があるんですよ。
 火星へ向かった最初の探検隊は、一人も還ってこなかった。 つづく二度目の探検隊もまた、同じ運命をたどった。 しかし、人類は次々に火星へと押し寄せた。 火星の山や火星の海には、地球人の名がつけられた。 やがて火星に地球人の街ができたが、そこに火星人の姿はなくなっていた──
 そんなわけで超名作と名高い(らしい)『火星年代記』。 1946年(!)に書かれた25篇の連作オムニバス小説です。 当時、火星人襲来みたいな話はたくさんあっても、火星の側から地球人の侵略を描いた作品ってのは、 斬新だったんだろうなぁ。 話自体も流石の出来で、ユーモアがあって、風刺的で、詩的でもあります。 読んで胸躍らせる、みたいな話ではないけれど、余韻の残る作品でした。
 別のひとの作品で『火星夜想曲』ってのもあるらしいので、これもそのうち読んでみようかな。

2002.12.20

『処刑前夜』(メアリー・W・ウォーカー)

 死刑囚が、最期に好きな食べ物を頼む。よくあるシーンですが、読むたびに 「自分だったら何頼むかなぁ」とか考えてしまいます。 で、毎回全然決まりません。 なんだろうねぇ。バケツ一杯プリン食うとか、子供の頃に憧れたようなやつがいいいのかなぁ。
 十一年前に起きた連続殺人事件をまとめた『にじみ出る血』。 この本は世間の注目を集め、犯罪記者モリー・ケイツの出世作となった。 事件の犯人ルイ・ブロンクの死刑執行まで一週間と迫ったある日、モリーはその立会人に指名された。 それも、他ならぬルイ自身の指名によって。 モリーは彼の最期を見届け新たな記事を書こうとするが、なんとルイは過去の自白を撤回し、 自分は無実だと主張した これは冤罪だ、自分は無実だと。モリーは真実を探ろうと決意するが──
 犯罪記者モリー・ケイツのシリーズ第一弾。 第二弾の『神の名のもとに』は先に読んじゃったのですが、面白かったですよこれは。
 じゃ、こっちが面白くなかったのかっていうとそんなことなくて面白かったと思うのですが、 だいぶ以前に読んだのでかなり記憶が曖昧。こんなんばっかりで済みません。
 シスター・アディがかなりいいキャラだったので、また出てこないかな。 というくらいは書けるのですが、メモがそのくらいしか残ってないもんで……。 あ、ちょっと思い出した。かなりサスペンスな感じの話だ。 ホラーは嫌だけど緊張する感じのドキドキを味わいたいかたは、どーぞ。 ってな話だった気がする。というわけで、どーぞ。

2002.11.23

『指輪物語 旅の仲間』(J・R・R・トールキン)

 指輪と言えば?  ということで思いついたのがロッテの『ジュエルリング』。 はいはい、指輪と縁のない生活を送ってるもんで。
 ネタ探しにとりあえず検索してみたところ、衝撃的な事実を知ってしまいました。 ジュエルリングはもう売ってないらしいです。ショック。
 『たのみこむ』で リクエスト受付中みたいなので、ショックを受けた人はリクエストしてみてください。

 てなわけで指輪物語。『ロード・オブ・ザ・リング』って言ったほうが通りがいいかな。
 ホビット庄のフロド・バギンスが、叔父のビルボから譲り受けた魔法の指輪。 それは「ひとつの指輪」──冥王サウロンがその強大な魔力を注いで作り上げた、恐るべき指輪でした。 もし再びこれがサウロンの手に渡れば、世界は闇と絶望に支配されるでしょう。 指輪を処分する方法はただ一つ、火の山・オロドルインの火口にそれを投げ込むこと。 フロドは仲間たちとともに、指輪を捨てる旅に出るのでした──
 というわけで、北欧ファンタジーの王様的なこの話。
 実は以前にも一度読もうとして挫折したことがあるのですが、 最初の数十ページは、やったら面倒くさい話が続くんですよ。 ホビット族と中つ国の歴史みたいな話が延々と。 昔はそこで挫けてしまったのですが、大間違いでした。 そんなところは適当に素っ飛ばして読んでやると、面白いストーリーが待ってます。 ああ、なんだ面白いじゃん。 途中にも何度か歴史みたいな話とか、あと長い詩の部分なんかがあるのですが、 その辺もバンバン斜め読みしつつ物語だけを読んでいくと、面白い。
 恐ろしい敵に襲われたりするシーンもあるのですが、それよりもハラハラするのが、 指輪が持つ力に惹きこまれそうになりつつも、必死で抵抗するフロドの戦い。 このへんがいい。
 何かを手に入れるために旅立ったのではなく、ある物を捨てに行くために旅立つというのも、 なんかカッチョよくないすか?

2002.11.03

『ホームズと不死の創造者』(ブライアン・ステイブルフォード)

 シャーロット・ホームズという名前の下らなさで思わず読んでしまったこの小説。 だった日本人で言えば明智小五子ですよ。金田一耕助子ですよ。ぼくならタケ子ですよ。
 ナノテクノロジーと生物学の進歩によって、人類は数百年もの寿命を獲得していたが、 それでもなお、殺人というものが消えることはなかった。 今回 女性刑事シャーロット・ホームズが扱うことになったのもその殺人事件のひとつだが、 これは中でも異例中の異例と言っていい事態だった。 現場を訪れた彼女が見たのは、死体に絡みつく植物。それは、遺体の肉を栄養とし成長する花々であった。 シャーロットは、フラワー・デザイナーのオスカー・ワイルドらと友にこの不可思議な事件に挑む──
 ってことで未来を舞台にしたホームズのパステーシュ、かと思ったら、全然ちがいました。 騙された! 現代は「Architects of Emortality」と、ホームズのホの字もはいってないみたいなので、 こりゃ訳者だか編集者にやられてっていうことですね。
 で、肝心の中身なんですが、期待のシャーロット嬢がかなりアホなんでガックリです。 タイトルからしてこの人が活躍するだろうなんて思ってると肩透かしを食うので、 やっぱりこの邦題は間違いだったんじゃないかなぁと思うのですがどうですか。
 まあ、そんなこんなで正直ぼくにはいまひとつでした。 オスカー・ワイルドの作品を知ってたりすると、もうちょっと違うのかも知れないけれど。
 ラパチーニの娘・ベアトリーチェの話は面白かったけど、別にこの作者の手柄じゃないもんなぁ。

2002.09.22

『隋唐演義 五 玄宗と楊貴妃ノ巻』(田中芳樹)

 世界三大美女っつったらクレオパトラ、楊貴妃、小野小町のことらしいのですが、 小野小町は特に国を傾けたりしたわけでもないし、ちょっと迫力に欠ける気がします。 いや、別に迫力勝負じゃないからいいんですけど。

 そんなこんなで隋唐演義もついに最終巻。ネタバレ感想だけにしておきます。
 いや、最後に生まれ変わりの話をされたのにはちょっとビックリしました。 しかし一回死んでも二回死んでも、人の性質はそう変わらないもんなんですね……。 というか、そう捉えられて転生の伝説が作られるんですね。当たり前っちゃ当たり前か。
 ちょっとGoogleで調べてたら「古典小説における人物転生表」というページを発見しました。 直接リンクは張らないけど、こりゃ便利なページです。 中国史(または説話)に興味があったら面白いと思いますよ。

2002.08.09

『隋唐演義 四 女帝武則天ノ巻』(田中芳樹 編訳)

 世界がもしも100人の村だったら……そのうち1人か2人は李さんらしいっすよ。 中国人の姓で一番多いのは李さんで、その数なんと1億人もいるそうです。 ああ、そりゃもう中国もの読んでて混乱するわけさ。 隋唐演義も李さん多すぎさ。
 そんなわけで登場人物が把握しきれない隋唐演義ももう四巻。 中国にはこんなすげー女帝が居たんだなぁってな感じですね。 まあ日本だって女性が政権を握っていた時代があるんだから、 ましていわんや中国をやってことですね。
 「ましていわんや~をや」って意味の英語を昔おぼえた気がするんだけど、忘れちゃったなぁ。

2002.07.27

『テイル館の謎』(ドロシー・ギルマン)

 「~館」と名のつく建てもの。「かん」と読むとなんでもないのですが、「やかた」と読むと、 ちょっと怖いイメージがあるのは ぼくだけでしょうか?  ときどき「髪切館」とかいう名前の美容院を見かけるのですが、ぼくのイメージでは、 シザーハンズみたいなひとがチョッキンチョッキン……というか、ジャキジャキ髪を切りまくる、 そんな恐怖の館なのです。怖くて行けない。
 まあどうでもいっすね、そんなこと。
 アンドリューは小説家を志していたが、 飛行機事故にあってからというものは何も書けなくなり、 大会社の副社長である父親のもとで不本意な仕事を続けていた。 ある日、アンドリューは父親の命令でマサチューセッツ州にあるテイル館に向かった。 館の持ち主であった大叔母の亡きいま、その土地をどうするか。それを決定するための調査だった。 しかし、廃屋になっているはずのその館には、いまもなお住んでいる人々がいたのだった──
 今回もギルマンらしいお話。 主人公が事件に巻き込まれて、エキゾチックでミステリアスな人物と出会って、 何か大切なものに気が付いて、そして成長していく。 パターンっちゃぁパターンですけど、これはこれで安心して読めるってもんです。 すごくドキドキするとか、すごくビックリするってことはあんまりないんだけど、