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『ひとりっ子』(グレッグ・イーガン)

 時間には始まりや終わりがあるのかとか
 物体を究極まで小さくしていくとそれは何なのかとか
 神様がこの世界を作ったのなら神様は誰が作ったのかとか
 世界っていうのは一体どういう風に出来上がってるのか、誰でもちょっとくらい考えたことがると思うんですけど、このグレッグ・イーガンってひとはそこから話のネタを作りだすのが抜群に巧いんですよね。



 量子力学の考え方を使って平行世界や何かを描いてることが多いんですけど、まあ「~学」という名前からお察しの通り、たいがい分かりづらい。
 自分もちゃんと理解できてるとはとても言えないんですけど、それでも何故面白いかって言うと、ありったけの想像力を要求されるのが面白いんですよね。一生懸命読み解いて、作者の思い描いた世界をビジュアル化できると凄いカタルシスを感じるわけです。

 この本には『行動原理』『真心』『ルミナス』『決断者』『ふたりの距離』『オラクル』『ひとりっ子』の7編を収録。
 正直最後の二つは良く分からなかったんですが、それでも全体として『しあわせの理由』よりも面白かったですね。『祈りの海』よりはやや劣るかな?
 ちなみに原題『Singleton』ってのはプログラムデザインの世界では「複数のインスタンスを持たない(持てない)」パターンのことを指します。こっちのほうが面白いですねぇ。

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