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『楽園の泉』(アーサー・C・クラーク)

 エレベーターというのは不公平な乗り物だと思います。 最後に乗った人が一番トクをするシステムになってるんですよ。 閉まるギリギリに駆け込んできたひとはドア付近に立つことになるため、降りるときは真っ先に降りられます。 先に乗ってたひとは出発するときも降りるときも待つことに! ひどい!
 そこで提案なのですが、動いてる最中に中がグルグルと回るシステムにしてみたらどうでしょう。 どこから降りられるかは全くのランダムです。
 気分は悪くなると思いますが。
 かつて古代の王カーリダーサが楽園の泉を築いた土地タプロバニー。 それから二千年の後、ここに天を貫く新たな塔が作られようとしていた。 赤道上を地球の自転と同じ速さで動き、そのため同じ地点の上空に静止しつづける人工衛星。 そこからケーブルを地上へとたらせば、地球と宇宙を結ぶ巨大なエレベーターを作ることができるはずだ。 この壮大な夢を実現させるため、科学者ヴァニーヴァー・モーガンはタプロバニーへとやってきたのだが──
 古代の王の伝説、聖地に住む僧たち、地球外知的生命《スターホルム》。 一見バラバラにも見える要素に最初は戸惑ったのですが、これらがうまく絡み合って、 宇宙エレベーターにかけるモーガンの夢へのモチーフになっています。
 宇宙のランデヴーや地球幼年期の終わりなどを思いおこさせる個所もあり、 クラークのSFらしさもよく表れた作品だと思いますが、それ以上に、やっぱりモーガンの《夢》と《情熱》というものが 印象的な話でした。子供のころ、凧揚げをしたひと、どこまでも高く凧を上げようとしたひとに読んで欲しい作品です。 ちょっと、SFを読みつけないと分かりづらいけどね。

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