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『テイル館の謎』(ドロシー・ギルマン)

 「~館」と名のつく建てもの。「かん」と読むとなんでもないのですが、「やかた」と読むと、 ちょっと怖いイメージがあるのは ぼくだけでしょうか?  ときどき「髪切館」とかいう名前の美容院を見かけるのですが、ぼくのイメージでは、 シザーハンズみたいなひとがチョッキンチョッキン……というか、ジャキジャキ髪を切りまくる、 そんな恐怖の館なのです。怖くて行けない。
 まあどうでもいっすね、そんなこと。
 アンドリューは小説家を志していたが、 飛行機事故にあってからというものは何も書けなくなり、 大会社の副社長である父親のもとで不本意な仕事を続けていた。 ある日、アンドリューは父親の命令でマサチューセッツ州にあるテイル館に向かった。 館の持ち主であった大叔母の亡きいま、その土地をどうするか。それを決定するための調査だった。 しかし、廃屋になっているはずのその館には、いまもなお住んでいる人々がいたのだった──
 今回もギルマンらしいお話。 主人公が事件に巻き込まれて、エキゾチックでミステリアスな人物と出会って、 何か大切なものに気が付いて、そして成長していく。 パターンっちゃぁパターンですけど、これはこれで安心して読めるってもんです。 すごくドキドキするとか、すごくビックリするってことはあんまりないんだけど、 ギルマンの本は読みやすくて読後感がいいのでつい手にとってしまいます。
 ちょっと面白かったのがこの一節。
 ここで彼は軽く答える欲求に負けてしまった。
 いや、ほんと、本気でぶつかったりしないほうが楽だもんね。 この辺をさらっと書いてみせたりするところがギルマン節なのかなとか思いました。

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