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『バルト海の復讐』(田中芳樹)

 その昔、新大陸を発見したコロンブスの偉業を「誰にでもできることだ」と笑う者がおりました。 コロンブスは彼らに「この卵を立てることができますか?」と問い、卵の底を割って立てることでその問いに答えました。 誰にでも出来そうなことでも、実際にやってみることが重要だと説いたのです。
 カッチョイイ。
 ところでデビッド・カッパーフィールドがこれをやったら大変です。
「フジテレビを消してみせましょう」
 グシャ。

 1492年が舞台だったのでコロンブスネタにしてみました。
 西暦1492年。寒風吹きすさぶバルト海の沖に、エリックは両手を縛られ放りこまれた。 彼が親友と思っていた人物の裏切りによって。 夜の海を泳ぎきり、半死半生でブローテンの断崖を這いあがったエリックを助けたのは、 近所の人々から魔女と畏れられるホゲ婆さんだった。 エリックはかつて友人であった男への復讐のため、また自らの無実を晴らすため、 ホゲ婆さんの力を借りて故郷へと帰還するが──
 うーん。少年少女向けの冒険小説、だったのでしょうか?  ジュール・ヴェルヌ作品からインスパイアされてタイトルをつけたとのことですが、 実際、小学校高学年くらいのときに読んだヴェルヌのような、分っかりやすい内容でした。 というかむしろ、もう ひとひねりか ふたひねりあっても良かった気がします。
 田中作品と言えばキャラが面白いのが魅力だと思うのですが、この作品の主人公はちょっと平凡すぎ。 ホゲ婆さんとギュンターが主人公ならもうちょっと面白かったかなぁ。 だいたいホゲ婆さんは名前からして凄いです。ホゲ。
 期待して読んだだけにちょっと肩透かしだったけど、この時代のヨーロッパについて知りたいひとや、 冬休みの読書感想なににしよーと悩んでる小中学生、田中芳樹ファンの皆様なんかは読んでみていいんじゃないでしょうか。

目薬

 医薬品を使うときは説明書をよく読み、正しくそして注意深く使用しましょう。

 目薬のフタを中途半端に開けた状態で他のことに気を取られ、そのままさそうとしてしまいました。 あぶなくフタをさしてしまうところでした。
 眼の疲れを癒そうとして逆に痛めてしまったのでは、身もフタもありません。←オチ

『宇宙消失』(グレッグ・イーガン)

 問題です(ズチャッ)。十円玉2枚を使って、千円札1枚を完全に隠してください。
 答えはCMの後! つーか伏字で。

 答え。十円玉2枚を使って両目をふさぎます。

 ってことで、消すのは意外と簡単だというお話(?)。 
 西暦2034年、空から星が消えた。 冥王星軌道の倍ほどもある巨大な暗黒の球体が、突如として太陽系を包み込んだのだ。 人々は《バブル》と呼ばれるようになったその球体の正体と出現の原因を探ったが、何一つ確実なことはわからなかった。 世界は一時パニックに襲われたが、やがて人々は日常を取り戻し、世界は宇宙を失ったまま33年の歳月を重ねた。 ある日、元警察官のニック・スタヴリアノスは匿名の依頼人から仕事を受けた。 厳重な警戒のもとにある病院から誘拐されたある女性の捜索。一件簡単な事件と思われたが、 やがてそれはこの世を揺るがす恐るべき真実へとつながっていく──
 すげー。これこそまさに「理論のアクロバット」。しかもウルトラC級です。 よく「騙されたと思って××してみな」とか言いますが、 この話だと「騙されたと思って騙されてみな」とか言ってみたくなります。 騙されてみないと読めないよなぁこれ。
 『順列都市』と対をなすような話だったけれど、納得度はこっちのほうが上。 サイバーパンクとかSFが好きな人になら是非オススメしたい本です。 そういうのを読みなれていない人にはちょっとツライかも。

『インビジブル』

  透明人間  「くっ……。何故だ、何故俺のいる場所がわかる!?」
  主人公  「今日一日の自分の行動を、よーく思い出してみるんだな」
  透明人間  「お祭りに行って……輪投げの景品倒して……金魚すくいのモナカに穴あけて……ヤキソバを食って……はっ!」
  主人公  「そう、お前の前歯についた、その青海苔が目印だ!」
  透明人間  「しまったー」
 ってのはどうですかね。ダメですか。そうですか。

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一万円入ります

 ファーストフードのお店なんかで一万円札を出すと
「一万円入りまーす」
 と言われます。あれが気になる。
 なんか元気よく報告しちゃってるけど何のためにやってんのかよくわかりません。
 特命リサーチ風に考えてみました。
仮説その1: お釣りを間違えないため、口頭で確認している。
 物事を確認するため、口に出して言ってみるというのは有効な手段である。 つまりこれは、うっかりミスを防ぐための確認処置ではないだろうか。
 しかし、それならば他の札のときも常に行うべきである。よって、この説は当てはまらない。
仮説その2: お釣りに使える札の枚数を把握しておきたい。
 通常、一万円札をお釣りに使うことはできない。 つまり、一万円ばかりが増えてくるとお釣りの支払いに支障がでるのだ。 そのため、店員が一万円の数を把握するための行為であるとする説である。
 しかし、厨房で料理を作る店員がいちいち一万円の数を数えていられるだろうか? この説でも説明は不充分だ。
仮説その3: 嬉しい。
 喜びは皆で分かち合うものである。そして一万円が嫌いなひとはいない。よって、本来であれば
「一万円はいりまーすっ!」
「イヤッホーゥ!」
 と言いたいところを控えめに表現しているのではないだろうか。
 結局答えは知らないので、誰か教えてください。

『スカーレット・ウィザード3』(茅田砂胡)

 宇宙を舞台にしたお話では「宇宙暦」とか「宇宙世紀」とかいう暦を使うのが一般的なようですが、 これ、実際に制定される日は来るんでしょうか?
 暦が始まるのは、人類が最初に月に立った年だとか、宇宙に移民を開始した日だとか、 作品によっていろんな設定があるようですが、どうも円満に決まりそうもない気がします。 ××国の偉業なら○○国が異を唱え、○○国の偉業なら××国が異を唱え……。
 ってことで、ぼくの提案としては何でもない年を「宇宙暦元年」にしちゃうのがいいのではないかと。 どの国も反対するような年にしてしまえばある意味平等です。どうだ。って、誰に言えばいいんだ。

 「共和宇宙暦」を使ってるスカーレットウィザードの、第三巻です。 もうネタバレ扱いにしちゃおう。
 共和宇宙標準暦945年7月14日、予定より二日早く、ジャスミンは男の子を出産した。 ところが夫であるケリーは前日に「三日で戻る」と言い残しどこかに出かけてしまっていた。 そして、三日が過ぎても戻って来なかった。 代わりに《パラス・アテナ》が係留を引きちぎり、管制を無視する猛速度でドックを飛び出した。
「第一級非常事態宣言! 操縦者の反応消失により、本船は緊急体制に移行しています。繰り返します。第一級非常事態宣言……」
 意外とあっさり(?)赤ちゃんが産まれてびっくり。 まあ父親が大変なことになってる分、そこは安産ということでバランスがとれてるのかな。 はやく夫婦そろって「あばばばばー」とかやってるところが見てみたいものですが、それって最終巻になっちゃうのかな。
 幽霊星の話が出てきましたが、これはどこまで説明されると思っていいものか……。 予想では、最後まで謎のまま残りそうな気がするのですがどうでしょか。
 また変なキャラが出てきた、クライスト。うわーナルシストキャラだーとか思って読んでたのですが、 予想より更に変なやつの予感がします、こいつ。
 ジャスミンとゼウスの会話。
「おまえ、ダイアナを知ってるのか?」
「彼女は、わたしの、あこがれの人なんだ」
 どうも何か非常に変なことを聞いた気がするが、この際それは後回しだと、ジャスミンは割り切った。
 「どうも何か非常に」という修飾詞がどうも何か非常に可笑しいです。

 外伝的ストーリー『十一番目のダイアナ』も収録。
 人間の身体を持たないダイアナたちの、一番大切な記憶。意外といえば意外だし、 当然といえばこれほど当然なものもないかなぁ。

『理由』(宮部みゆき)

 人のことを表す「~屋」という言葉には、大きく二種類の意味があります。
 ひとつは肉屋、魚屋など職業をあらわすもの。もうひとつは、照れ屋、頑張り屋など特徴をあらわすもの。
 これが逆だと大変です。職業が「照れ」とか、特徴が「魚」ってのはなんかすごくイヤ。

 今日の本に出てくる「~屋」は職業のほうです。
 事件が起きたのは荒々しい雨の夜だった。 東京都荒川区の高層マンション「ヴァンダール千住北ニューシティ」で、一家四人が惨殺された。 豪雨によって発生当時の様子が判り難かったこと、第一通報者の特定に錯誤があったことなどから捜査は難航したが、 やがて意外な事実が浮かび上がる。被害者は部屋の所有者ではなかった。「占有屋」。それが彼らの正体であった──
 不勉強なもんでこの本読むまで「占有屋」というものを知りませんでした。勉強になったー。
 で、その「占有屋」というものが何か知っていたら、この小説で起きた事件は単純なものと言えるかもしれません。 よってミステリとは言えない。といってサスペンスとも違う。
 ただ、事件の関係者には「理由」がある。それぞれの理由で日々を生き、それぞれの理由で事件に関わっている。 その理由を丹念に描くことで、この小説はなりたってます。もー本当に宮部みゆきならでは、という感じかも。
 以下はネタバレ。
 ラスト付近のこの言葉。
 母は飲み終えたココアのカップを持って立ちあがった。そして、小声で言った。 「帰る場所も行くところもないってことと、自由ってことは、全然別だと思うけどね」
 うーん。すごい。ここだけ読むともしかしたらただの説教くさい台詞なのかもしれないけれど、 その前に充分な伏線があるために「響く」台詞になってます。ぼそっと言った台詞だというのもいい。
 公共広告機構で、「いちばん大事なのは、家族です」とかなんとかいうCMをやっているけど、 家族の何が素晴らしいかといったら、一緒にいるために「理由」が要らないことなんじゃないかと思いますよ、孝弘くん。


丈直し

「たけ直し お待ちのお客様~」
 ジーンズ売ってる店なんかでよく聞く言葉ですが、そのたびに連想してしまう名前があります。
 たけなおし ゆたか。
 やな名前。

『千と千尋の神隠し』

 「せんとちひろ」って略称は微妙~に呼びにくいと思うんで、「センチヒ」っていうのはどうでしょう。 ちょっとGoogleで検索してみました。
  千隠し......13件
  千千尋......52件
  せんちひ......250件
  センチヒ......271件
 勝った! センチヒのワンツーフィニッシュです。
 ちなみに「センチバ」だと1,020件出て来ますがこれだと「千と千葉の神隠し」になってしまうので要注意。

続きを読む "『千と千尋の神隠し』" »

『エル 全日本じゃんけんトーナメント』(清涼院流水)

 『ミニモニじゃんけんぴょん』が流れた途端、狂ったように踊り始めるガキンチョを見たことがあります。 まさに日本の未来はウォウウォウウォウウォウだと思った瞬間。
 あーいう子が大人になったら こんな大会を開いちゃったりするんでしょうか。
 ……どこから狂い始めたのだろう。ごく平凡な中学三年生のぼくが、なんの間違いからか、 多くの人々に注目されることになってしまった。 全日本じゃんけんトーナメント── のべ3000万人が参加するこの大会は、億単位の金が動く、日本最大のエンターテインメント・ショウだ。 平均視聴率70パーセントを超えるというその決勝大会に、あろうことか このぼくが勝ち残ってしまった。 人に注目されるなんてゴメンだ。ホント、早く負けたいよ──
 よくまあ じゃんけんだけで1冊書いたなーという感じですが、テーマだけでなく中身も変わってます、この本。 第1章はA、第2章はB、第3章はA……という感じで、2つのパターンが交互に繰り返されてるのですが、 まずはAだけを1、3、5……と読んでみる。 次にABAB(1234……)と読みなおすと、全く物語が姿をあらわす──という仕掛け。 名前だけでなく考えることも変わってます、この作者。
 正直、表のストーリーだけ読むと、かなり予想できる展開をしてくれちゃうのでちょっとショボイのですが、 裏ストーリーがあるのと仕掛けがあることを含めるとまあ面白い……かな。サクッと読めます。
 以下ネタバレ。
 これだけは突っ込ませてもらわないと。天草翔の台詞です。
「CPUが一つしかない場合は、同時押しは利かないんだ。同時に読み取る、ということができないからね。 自動販売機や、初期のファミコンにしてもそうだ。一プレイヤーのコントローラーとニプレイヤーのコントローラーを 順番に読み取るのがファミコンのCPUだ。だから、一プレイヤーとニプレイヤーが、 コントローラーのボタンを同時に押したと思っても、どうしても有利不利が出てしまう」
 アホかー。そんなことありません。 よっぽどヘナチョコなプログラマが作ったらそうなるかもしれないけど、 普通は有利不利のできないようにプログラムを組めますし、組みますよ。 スーパーファミコンがマルチCPUだというのも変だし、 だいたいマルチCPUについて誤解がありそうです。 コンピューターに詳しいキャラの台詞なんだから、もうちょっと調べて書いて欲しいもんです。 木村くんを騙すための嘘、ととれないこともないけど、それなら種明かししてくれないと、ねえ。

『すべてがFになる』(森 博嗣)

  「オールF」だと思うとなんかアタマわるそうですが、油断してるといきなり冒頭ですごいシーンがあります。
「165に3367をかけるといくつかしら?」女は突然質問する。
「55万……、5555です。5が六つですね」萌絵はすぐ答えた。
 ええ!? アナタそろばん何級?
 なんだか理系な感じ漂うミステリです。
 N大学工学部助教授・犀川創平は教え子の西之園萌絵とともに とある孤島の研究施設を訪れた。 そこには、14歳のときに両親殺害の罪に問われ、以来外界との交流を拒みつづけている天才工学博士・真賀田四季がいる。 一週間、外部との交信を断っていた博士の部屋に犀川は入ろうとしたが、 そのとき彼が見たのは誰も予想し得ない光景だった。 ウェディングドレスを着た女の死体が、部屋から進み出てくる──。 そして、部屋には不思議なメッセージが残されていた。 「すべてがFになる──」
 犀川・萌絵コンビの第1巻。──なんてことは知らずに読んだのですが、結構おもしろかったっす。
 別に165×3367が暗算できる必要はないけど、コンピュータの知識はちょっとはあったほうがいいかも。 どうやら作者は理系出身の人らしく、そのへんがちゃんと描かれた珍しい作品です。
 理系理系と強調してしまいましたが、別に文系のひとが読んでも大丈夫。 萌絵のお嬢様設定なんかはマンガっぽいんだけど、それはそれで楽しい感じ。とりあえず次作も読むつもり。
 以下ネタバレ。
 コンピュータ関連がちゃんとしてると書いたけど、気になることがひとつ。 デボラの機能がかなーり凄いのですが、これが16bitのマッシーン上で動くかなぁ? int型がいつまでも16bitだと思ってたら痛い目あいまっせ、とプログラマ的視点。
 真賀田博士の娘が……説はぼくにも思いつきました。やった! と思ったけど、流石に動機までは解からなかった……。 というか、真賀田未来のことをもうちょっと突っ込んで考えなかったのは不覚。怪しかったのに!
 世津子の正体(?)はベタだなぁ。最後まで引っ張ったからもうちょい何かあるかなとも思ったけど。 ま、次回以降に期待でしょうか。

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