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巷説こうせつ百物語』(京極夏彦)

 日が没してより後、暗い部屋に篭もり百本の蝋燭に火を灯す。 一人ずつ順に怪談を語り、一つの話が終わる毎に一本の蝋燭を吹き消す。 百の物語を終えて最後の蝋燭を消すとき、恐ろしい事が起こる──
 ってのが所謂「百物語」ですが、これってよく考えるとすげー大変。 まず怪談を話せる人を百人集めなきゃならない。しかも、話が かぶっちゃいけない。 要領良く話して一人三分のペースをキッチリ守ったとしても五時間かかる。 もし一人あたり五分の時間をかけてしまったら八時間以上かかるわけで、夜明けちゃうじゃんみたいな話になるわけです。
「コホン。では妖怪ぬらりひょんの話を……」
「馬鹿、それさっき出たよ。お前寝てたろ」
「うそ!? ちょ、ちょっと待って。いま他の考える」
「早くしないと朝になっちゃうだろ! ──もういい。お前さき話せ」
「ええ!? えっと、うんと、皿割って怒られた女の幽霊が夜な夜な皿を数えに現れるんだって。怖いよね」
「終わりかよッ!」
 こんな状態でも成立するんでしょうか。全然怖くなさそうですが。

 前振りが長すぎました。
 時は江戸の世。闇は深く、あやかしの影が跋扈する。 小豆洗い、白蔵主、舞首、芝右衛門狸、塩の長司、柳女、帷子辻……。 人の法では計れぬ何かがあるところに、彼らは現れる。 事触れの治平、山猫廻しのおぎん、考物の百介、そして小股潜りの又市。又市の鈴が鳴る。
「御行奉為したてまつる──」
 まあ言ってみれば必殺仕事人みたいな話なんだけど、 京極堂シリーズ同様、妖怪に関する話を巧みに織り交ぜた複雑なものになってます。 京極堂が憑き物落としなら、差し詰め又市は憑き物憑かせといったところでしょうか。
 どれもよくできていて面白いんだけど、中でも最後に収録されてる 『帷子辻かたびらがつじ』は強烈。
 最初に又市が出てきたとき、どっかで見たなぁと思いながらも思い出せなかったのですが、 『嗤う伊右衛門』に出てきた又市と同一の人物ですね。 困った事にこれも読み返してみたくなってきた……。
 この本に収められているのは七作の物語ですが、これ百まで書いてくれるんでしょうか。書いてくれ。
 そしてどこかで呑馬術というやつを見せてくれ。できれば前からと後ろからで二回見てみたいです。

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